自分とは違う価値観や異なる文化といった「驚異」を認識させてくれるのが映画かな。遠ければ遠いほど、自分の世界が広がる気がします
(塚原真梨佳)

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 両親が映画好きだったので、小学校1・2年生のころからずっと、日曜日の家族での娯楽は映画館で映画をみることでした。「プライベートライアン」とか「戦場のピアニスト」とか戦争映画をよくみてましたね。父は自衛官で、戦争の歴史とかに詳しかったので、ただの娯楽として映画をみせるだけじゃなく、家族の会話のなかで映画の歴史的背景までちゃんと教えてくれて。なので、小学生のころから戦争によって見えてくる国と国の関係性についてよく考えていました。

 大学に入ってから、よく行った映画館は、京都シネマ京都みなみ会館。あとは、先生の研究室に入り浸って、映画をみています。

 メディアデザイン領域の、泊先生の研究室と櫻井先生の研究室はすごいです。どっちかに行ったら、探してる作品が必ずあります。ちょっと引くかなっていうぐらい、ビデオテープやDVDが山ほどあるんです。
特になんの用もなく櫻井先生の研究室におじゃまして、「ちょっと松本俊夫みますわ」って言って、先生が入れてくれたコーヒーを飲みながら、勝手に映画をみて一日過ごすなんていうことも(笑)。

大学に入って、沖縄についてのドキュメンタリー作品を撮りはじめたら、自分が今まで何となくみていた映画にみえてなかった部分があることに気付きました。
プロの人はどんな風に撮っているのか、どういう作品があるのかとか、もっと知りたくなって、とにかくみないと話にならないと思って、たくさんのドキュメンタリー映画をみるようになりましたね。
作り手の視点で映画をみていくうちに、シーンの切り替わりのタイミングやアングルなんかの知識が増えていって、それを自分の映像作品に取り入れてみたり、実験しているうちに、どんどんドキュメンタリーにハマっていきました。

卒業制作展で展示した映像作品「2/2」。

最近面白かった映画はダントツで「アウト・オブ・キリング」ですね。善悪の価値観は、しょせん自分が生まれた国の歴史・文化とかで「正しい」とされているもので、それを私たちは肯定して生きているだけなんだっていうことを思い知らされた作品です。

いつも映画からは、「共感」よりも「驚異」を感じたいと思っています。人が作品とかに影響されるのって、共感か驚異のどっちかだと思っていて、最近は、みんなで泣けるとか同じ境遇の物語だったり、「共感」が流行ってますよね。でも、世の中は、同じなんて稀で、自分と違うものや異質なものといった「驚異」とふれあっていかなければいけないことのほうが多いはずです。
映画でみることができる、自分が生まれていない時代、異国の文化や価値観など、自分とは異なるものである「驚異」が、自分の場所から遠ければ遠いほど世界は広がっていき、私の場合、制作の原動力になるのです。

つかはら まりか / メディアデザイン領域4年生


取材を終えて

映画は字幕と吹き替えのどちらでみますか?と質問したところ、「字幕かな。声の抑揚で感情とかを読みとれるところが好きです。あ!でもエディー・マーフィーの映画をみるときだけは、必ず吹き替え(笑)。エディーがでてたら、どんな三流映画でもみてしまいます」とのこと。いつも真摯に制作と向き合っている塚原さんのお茶目な部分を垣間みれた気がしました。(取材日:2015年2月)

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