落書きから始まることも多いんですが、髪型を決めたり、服を着せたりしてイメージをつくり上げていく楽しみがあります。
(橋爪千夏)

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 それまでは好きではなかった裸婦画ですが、学部生の時に石本正の作品に出会って、すごく好きになりました。線に楽しさがあふれているというか。

 私の絵は、裸婦ではないのですが、主に人物画を描いています。落書きから始まることも多いんですが、裸婦に近いところから描き始めて、髪型を決めたり、服を着せたりしてイメージをつくり上げていく楽しみがあります。地元の友人にモデルになってもらうこともあるんですが、自分の髪型を短くしたら絵の人物も髪が短くなったり、服装は私自身が好きなワンピースが自然に多くなったりしてしまいますね。ちなみに、今日私が着ているワンピースは、普段黒い服が多くなりがちな私のために母がつくってくれたものです。

 今、研究生として学部を卒業した後も、大学に残って制作を続けています。就職の道も考えていたのですが、もう少し絵を描きたいという思いを優先しました。人物、特に顔を描くのが好きなので、「こういう絵があったらいいな」と思って制作することが多いですね。研究生の間に、私が描きたくなる絵の雰囲気やテーマをしっかり言葉にして確立することが課題です。

 大学にいるときは、だいたい自分の制作ができる実習室にこもっていることが多いんですが、家は、研究生になると同時に、京都のゲストハウスにて住み込みで働く生活に変えました。ここでは、月に決まった日にちだけ受付の業務に入れば、家賃不要、ベットのある部屋を貸してもらえて、お米もタダでいただける環境。私自身、荷物も少ないですし、掃除や洗濯など家事の仕事も面白いので、楽しく働きながら生活費を抑えることができています。

ゲストハウスで働いている様子

 京都から大学に通う生活も、私の場合、電車の中や街中でかわいいファッションの子とか人を見たりしてアイデアを貯めているような感覚もあるので、大事な距離感だと思っています。

 私自身、普段感じることや発見が作品の発想につながることがよくあります。記憶の中の人や情景がつながるので、いろいろ見たり聞いたりすることで、作品の幅が広がると思っています。私だけではないかもしれませんが、制作しようと思って絵に向かうとあんまり浮かばなくって、アルバイトや別のことをしている時に、ふと描きたいものが頭にひらめくことが多いんですよね。

はしづめ ちなつ/美術領域研究生


取材を終えて

そういう暮らし方があると知って、調べたらすぐ見つかったというゲストハウスで働きながら住む生活。持ち物の少ない身軽な橋爪さんならではのアイデア。きっちりと制作と向き合うための時間を持ちたいという、研究生としての真面目な姿勢もうかがえる気がします。(取材日:2017年5月)


おまけ

大学のギャラリーにて行われた、橋爪さんの個展の様子。